今回は、関西広域連合の令和5年の問題前半
[主な医薬品とその作用]の
問31から問40です
医薬品に共通する特性と基本的な知識はこちら
主な医薬品とその作用はこちら
令和5年度 関西広域連合 登録販売者試験問題 令和5年8月27日(日)前半
問31
薬の配合成分に関する記述の正誤を確認して、正しい組み合わせを選びます
a デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物は、延髄の咳嗽中枢に作用する非麻薬性鎮咳成分である
- これは誤りです
これは非麻薬性鎮咳成分です。麻薬性ではありません
b メチルエフェドリン塩酸塩は、交感神経系を刺激して気管支を拡張させる作用がある
- これは誤りです
これは交感神経系を刺激することで気管支を拡張させます
c キサンチン系成分は、心臓刺激作用も示すことから、副作用として動悸が現れることがある
- これは正しい記述です
キサンチン系成分には心臓刺激作用があり、
副作用として動悸が現れることがあります
d クロルフェニラミンマレイン酸塩は、抗ヒスタミン剤であり、
気道粘膜からの粘液の分泌を抑制する作用がある
- これは誤りです
これは抗ヒスタミン剤であり、
粘液の分泌を抑制する作用があります
痰を出しやすくする効果はありません
したがって、正しい組み合わせは 5 誤誤正誤 です
問32
それぞれの漢方の効果効能を確認していきます
1 麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)
- 主に咳、喘息の症状を和らげるために使用されます
- 体力中程度から強い人に適し、発熱を伴うような急性の呼吸器症状に効果があります
- 異物感や精神的な不安に特化しているわけではありません
2 響声破笛丸(きょうせいはてきがん)
- 主に声のかすれや失声に使用されます
- 声帯の炎症を鎮める効果がありますが、精神的な不安や咽喉・食道部の異物感に特化していません
3 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
- 体力中程度の人に適しており、精神的な不安や咽喉・食道部の異物感を改善します
- 動悸、めまい、嘔気などの自律神経症状にも効果があり、広範囲な症状に対応します
- 不安神経症、神経性胃炎、つわり、咳、しわがれ声、
のどのつかえ感など、質問にあるすべての症状に対する適応が見られます。
4 五虎湯(ごことう)
- 主に咳、喘息、気管支炎の症状を和らげるために使用されます
- 体力が中程度から強い人に適し、異物感や精神的な不安に特化していません
5 甘草湯(かんぞうとう)
- 主に咳、喉の痛みに使用されます
- 鎮痛作用があり、声のかすれや炎症を抑えますが、
精神的な不安や咽喉・食道部の異物感に特化していません
以上の説明から、最も適切な漢方薬は 3 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう) です
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)は、
次のような症状に適応される漢方薬です
- 体力中程度(一般的な健康状態の人に適している)
- 気分がふさいでいる(うつやストレスによる精神的な不安)
- 咽喉・食道部に異物感(のどのつかえ感)
- 動悸、めまい、嘔気など(不安神経症や自律神経失調症に伴う症状)
- 不安神経症(精神的な不安が強い状態)
- 神経性胃炎(ストレスなどが原因で胃に症状が現れる)
- つわり(妊娠初期の吐き気)
- 咳(気道の炎症や刺激による咳)
- しわがれ声(声帯の炎症などによる声のかすれ)
- のどのつかえ感(咽喉部の違和感)
問33
選択肢の内容を順に検討して、正しい組合せを確認します
a スクラルファートは、マグネシウムを含む成分であるため、
透析を受けている人では使用を避ける必要がある
- これは誤りです
スクラルファートはアルミニウムを含む薬剤であり、
マグネシウムを含んでいません
透析患者ではアルミニウムの蓄積リスクがあるため、
スクラルファートの使用を避けるべきです
b ピレンゼピン塩酸塩は、血栓のある人、血栓を起こすおそれのある人では、
生じた血栓が分解されにくくなることが考えられる
- これは誤りです
ピレンゼピンは抗コリン薬であり、
主に胃酸分泌抑制の目的で使用されますが、
血栓に関連する効果や副作用は知られていません
c ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)は、
消化管内容物中に発生した気泡の分離を促すことを目的として配合されている場合がある
- これは正しい記述です
ジメチコンは消泡剤として使用され、
消化管内のガスを減少させるために気泡の分離を促します
d ウルソデオキシコール酸は、胆汁の分泌を促す作用(利胆作用)があるとされ、
消化を助ける効果を期待して用いられる
- これは正しい記述です
ウルソデオキシコール酸は胆汁の分泌を促進し、
消化を助ける効果があります
したがって、正しい組み合わせは 3 誤誤正正 です
問34
選択肢の内容を順に検討して、正しい組合せを確認します
a 腸内殺菌成分の入った止瀉薬は、下痢の予防で服用したり、
症状が治まったのに漫然と服用したりすると、
腸内細菌のバランスを崩し、腸内環境を悪化させることがある
- これは正しい記述です
腸内殺菌成分が腸内の善玉菌も殺してしまう可能性があるため、
過度な使用は腸内環境を悪化させることがあります
b トリメブチンマレイン酸塩は、消化管の平滑筋に直接作用して、
消化管の運動を調整する作用があるが、
まれに重篤な副作用として肝機能障害を生じることがある
- これは正しい記述です
トリメブチンマレイン酸塩は消化管の運動を調整する薬ですが、
まれに重篤な副作用として肝機能障害が報告されています
c ロペラミド塩酸塩が配合された止瀉薬は、
効き目が強すぎて便秘が現れることがあり、
まれに重篤な副作用としてイレウス様症状を生じることがある
- これは正しい記述です
ロペラミド塩酸塩は強力な止瀉薬であり、
便秘やイレウス様症状(腸閉塞のような症状)を引き起こすことがあります
d ベルベリン塩化物は、
海外において長期連用した場合に精神神経症状が現れたとの報告があるため、
1週間以上継続して使用しないこととされている
- これは誤りです
ベルベリン塩化物については、
長期連用による精神神経症状の報告は特に確認されていません。
通常は1週間以上の継続使用についての具体的な制限はありません
したがって、正しい組み合わせは 3 正正正誤 となります
問35
瀉下薬の配合成分に関する記述の正誤について、理由を解説します
a 酸化マグネシウムは、腸内容物の浸透圧をさげることにより、糞便中の水分量を増やす作用がある
- これは誤りです
酸化マグネシウムは実際には腸内容物の浸透圧を上げることで、
糞便中の水分量を増やし、排便を促進する作用があります
b センノシドが配合された瀉下薬については、
妊婦又は妊娠していると思われる女性では、使用を避けるべきである
- これは正しい記述です
センノシドは刺激性下剤の一種であり、
妊娠中の使用は避けるべきとされています
c ビサコジルを含む腸溶性製剤は、
胃内でビサコジルが溶け出すおそれがあるため、
服用後1時間以内は牛乳の摂取を避けることとされている
- これは正しい記述です
ビサコジルの腸溶性製剤は胃ではなく腸で溶けるように設計されていますが、
胃酸で溶けてしまうことを防ぐため、
牛乳など胃のpHを変える飲食物は避けるべきとされています
d ジオクチルソジウムスルホサクシネートは、
糞便中の水分量を増して柔らかくすることによる瀉下作用を期待して用いられる
- これは正しい記述です
ジオクチルソジウムスルホサクシネートは糞便中の水分を増やし、
糞便を柔らかくする作用があります
したがって、正しい組み合わせは 3 誤正正正 です
問36
この問題は漢方薬の選択肢が与えられ、それぞれの効能について考える必要があります
1 六君子湯(ろっくんしとう)
- 主な効能:気虚(気の虚弱)による食欲不振、腹部膨満、便秘などの症状に適す
- この選択肢は、便秘や食欲不振、腹部膨満に対する漢方薬である
2 大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)
- 主な効能:便秘や腹部膨満に加えて、湿疹・皮膚炎にも適する
- この選択肢は、便秘や皮膚関連の症状に対する漢方薬である
3 人参湯(にんじんとう)
- 主な効能:体力中程度以下で、体力低下による虚弱感や食欲不振、体力の回復を助ける
- この選択肢は、体力低下に対する漢方薬であり、便秘やその他の具体的な症状には直接的には関連しない
4 麻子仁丸(ましにんがん)
- 主な効能:便秘に伴う頭重、のぼせ、便が硬く塊状であることによる症状の緩和に適する
- この選択肢は、便秘とその関連症状に対する漢方薬である
5 桂枝加芍薬湯(けいしちゃくやくとう)
- 主な効能:体力が中程度以下での不眠、動悸、頭重、のぼせ、湿疹・皮膚炎、筋肉痛などに適する
- この選択肢は、体力低下によるさまざまな症状に対する漢方薬であり、便秘に特化した効能ではない
したがって、正しい説明は 4 麻子仁丸(ましにんがん)です
問37
胃腸鎮痛鎮痙薬の配合成分に関する記述の正誤を確認する問題です
a チキジウム臭化物には、口渇、便秘、排尿困難等の副作用が現れることがある
- これは正しい記述です
b ブチルスコポラミン臭化物は、
まれに重篤な副作用としてショック(アナフィラキシー)を生じることが知られている
- これは正しい記述です
ブチルスコポラミンは、アナフィラキシーを引き起こすことがあります
c ロートエキスは、吸収された成分の一部が母乳中に移行して乳児の脈が速くなる(頻脈)おそれがある
- こらは正しい記述です
ロートエキスは、乳児に影響を及ぼす可能性があるため、授乳中は注意が必要です
d パパベリン塩酸塩は、抗コリン成分と異なり、眼圧を上昇させる作用はない
- これは誤りです
パパベリンは、眼圧を上昇させる作用があるため、抗コリン成分とは異なります
したがって、正しい組合せは 3 正正正誤 です
問38
医薬品の強心薬に配合される生薬成分のうち、
鎮静作用を目的として配合されるものの組合せを選びます
解説:
a ロクジョウ(鹿角)は強心作用がありますが、鎮静作用はありません
b シンジュ(人参)には強心作用と鎮静作用があります
c センソ(仙薬)は強心作用がありますが、鎮静作用はありません
d ジンコウ(鎮痙剤)には強心作用はありませんが、鎮静作用があります
鎮静作用を目的として配合される生薬成分の組合せは「b シンジュ と d ジンコウですので、
したがって正しい組合せは 4 (b、d) です
問39
「一般用医薬品の苓桂朮甘湯」に関する記述の正誤を考える問題です
a 体力中等度以下で、めまい、ふらつきがあり、
ときにのぼせや動悸があるものの立ちくらみ、めまい、
頭痛、耳鳴り、動悸、息切れ、神経症、神経過敏に適すとされる
- これは正しい記述です
苓桂朮甘湯は神経症や神経過敏に適するとされる
b 利尿作用により、水毒の排出を促す
- これは正しい記述です
苓桂朮甘湯には利尿作用があり、水毒の排出を促すとされる
c 強心作用が期待される生薬を含んでいる
- これは誤りです
苓桂朮甘湯には強心作用が期待される生薬は含まれていない
d 構成生薬としてカンゾウを含むため、高血圧、心臓病、腎臓病の診断を受けた人では、偽アルドステロン症を生じやすい
- これは正しい記述です
苓桂朮甘湯にはカンゾウが含まれており、
これにより偽アルドステロン症を生じやすい
したがって正しい選択肢は 1 正正誤正 です
問40
選択肢の中から、正しい組み合わせを見つけるために各成分の説明を確認しましょう
a 腸管におけるコレステロールの吸収を抑える働きがある成分が含まれています
- これは正しい記述です
コレステロール吸収を抑える成分であり、コレステロール改善に関連する可能性があります
b 末梢血管における血行を促進する成分が含まれています
- これは正しい記述です
血行促進作用があり、末梢血管の健康を改善する可能性があります。
c 尿が黄色くなる成分が含まれていますが心配ありません
- これは誤りです
尿が黄色くなる副作用がありますが、健康上の問題はないと説明されています
d 1年くらい服用を続けても症状・コレステロール値に改善が見られない時には、服用を中止し、医療機関を受診してください
- 効果が見られない場合の服用中止と医療機関受診の指示があります
したがって、正しい組み合わせは 1 (a、b) です
まとめ
今回は、関西広域連合の令和5年の問題前半
[主な医薬品とその作用]の
問31から問40を解いてみました
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